AI時代 伝統シルムに現代科学をプラスする

2016年3月、ソウルで歴史に残る世紀の対決が繰り広げられた。
アルファ碁(人工知能コンピューター)と囲碁の第一人者、イ・セドルとの囲碁対決だった。
この激しい対決に全世界の人々は熱狂し、勝者が誰になるか甲論乙駁論しながら熱い期待を見せた。
結局、この世紀の対決は4:1でアルファ碁の勝利に終わった。AI時代、すなわち第4次革命時代が到来したことを知らせる事件だった。


▲イ・セドル VS アルファ碁インタビュー_写真出所 ソウル新聞

この対決と前後してAIへの関心が高まり、様々な分野で人間との対決が始まった。
最近ではオンラインゲームや運転対決などの勝負が繰り広げられたりもした。
それだけでなく、日本では人間CD(Creative Director)とAIが同じ製品で広告を制作し、話題になったりもした。
このように、人間の領域だと思われていた創意的な部分まで、AIが影響している時代に生きている。
それだけではない。実生活にも少しずつ入ってきていることが分かる。
代表的な例として、もうすぐ商用化されるという自動運転車や、音声認識をする人工知能テレビなどが考えられる。

 

シルムも人工知能ロボットと対決できるか

ここまでくると、私たちシルムを愛する人々には人間と人工知能ロボットとのシルム対決が可能かどうか、そして対決が繰り広げられれば誰が勝つのか、好奇心が生まれてくるだろう。
今すぐ人間とAIロボットとのシルム対決は不可能だが、これからは可能と見られる。
実際、OpenAIという非営利団体は、デジタル空間でロボットキャラクター同士の相撲を披露した。
デジタル空間で人工知能ロボットが競い合いながら勝つ方法を学ぶ方式だ。
押し合ったり騙し合ったりしながら、自ら学習して勝つ方法を探す。


▲OpenAIがシミュレーションした相撲の様子_写真出所 YouTube映像

現在はデジタル空間に留まっているが、今や人間型ロボットにも適用されることが期待されている。
そうなれば、私たちが見たい人間とAIロボットとのシルム対決も見られるだろう。

ここらでもう少し考えられることもある。
私たちにはシルムの歴史と同じくらい多様なビッグデータを持っている。
今までのシルム競技をデータ化させて、体重100kgのA選手と体重110kgのB選手が対決する際、どの技が一番勝率が高いかが分かると思われる上に、どんな攻撃技が入ったとき、どんな技で防御すればいいか、多様なシミュレーションが可能になるだろう。
選手と監督がこのシミュレーションを通じてまた学習をするようになれば、シルムは今日より一歩進歩するだろう。
また、多様な技を研究して、観客により多くの見どころと楽しさを与えることができるのではないか、と考えている。

 

VRシルムもできるのではないか


▲VRゲームを楽しむ若者_写真出所 Naverイメージ

もう一つ考えることができるだろう。AR(拡張現実)を通じたシルムだ。
VR技術の発展に伴い、これを通じた多様な姿を見ることができる。
たとえば、イケアの場合、自宅にイケア製品を置くとどんな姿か分かるサービスを開始した。
また、VRゲームは現在、若者の間で大きな人気を集めている。
VRゲームを通じて、実際にサバイバル銃乱闘をしているような感じを受け、アトラクションに乗るなど、仮想現実を楽しむ若者が増えている。

これをシルムに結びつけて国際規格の土俵でシルム VRゲームを作り、アンタリもかけてみたりティジプキもしながら楽しめば、シルムが若者にもっと身近なものになるのではないかと考えてみる。

 

シルム、世界へ! 宇宙へ!

一時、国民から愛されたシルムが、国民にそっぽを向かれていることは事実だ。
シルムを愛する一人として残念でならない。
しかし、シルムは現在、再び跳躍するためさまざまな試みを行っている。
伝統シルムの裾野を拡大するため有望株らを後援しており、イベントを開いて市民に近付いている。
また、ユネスコ登録により、文化遺産としての価値を高めるために努力している。

第4次産業革命がシルムにどれほどの影響を及ぼすかはまだ分からないが、役立つ部分があればもう少し肯定的に作用することを願う。
もちろん、伝統的な部分は守らなければならない。
シルムの伝統性は守りつつ、シルムの発展ぶりを考えてみる必要がある。
シルムの全盛期が再び始まり、韓国のシルムが世界に、そして宇宙へと羽ばたくことを祈る。

 

–大韓シルム協会 씨름터 vol.17より一部抜粋して翻訳
(http://ssireum.sports.or.kr/gnb/img/pdf/gro_17.pdf)