韓国KBS番組『シルムの喜悦』決勝戦レポート

2019年11月から放送が始まった韓国放送公社(KBS)の『シルムの喜悦』では、16名のシルム選手が出場して、予選トーナメントと敗者復活戦を経て最終8名の選手が残りました。この中から初代チャンピオン「太極壮士」の称号を得るただ一人の優勝者を決める、決勝戦が2020年2月22日、昌原総合運動公園内体育館でおこなわれその模様が生放送されました。

シルムのスター選手を多く輩出し、シルム博物館も建設予定であるほどシルム文化に関心の高い都市・昌原(チャンウォン)市が招致し、ソウルからKTXで3時間半、釜山のお隣になるこの都市で決勝戦が開催されました。決勝戦の観戦チケットをオンラインで無料配布され、用意されていた5000席が10分で配布終了するなど地方都市にもかかわらず反響はとても大きなものでした。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、直前で無観客試合となった。

大きな会場には8名の決勝ラウンド進出選手。

太白級から、ソン・ヒチャン選手、ユン・ピルチェ選手、ノ・ボムス選手の3名。
金剛級からは、キム・テハ選手、キム・ギス選手、イ・スンホ選手、イム・テヒョク選手、チェ・ジョンマン選手の5名。
本来であれば観衆の大歓声に包まれていた会場には、視聴者から寄せられたコメントがLEDモニターに掲示され、文字になって選手にエールを送ります。

8強戦スタート。
キム・テハ選手とキム・ギス選手の競技では、試合時間いっぱい使うも決着が着かず、計量で決着をつけるという珍しい場面も。続いての準決勝戦、太白級から唯一4強に残っていたユン・ピルチェ選手は惜しくもここで敗れ、3位決定戦へと挑戦することになります。同じく4強まで全勝で勝ち上がってきていた金剛級のチェ・ジョンマン選手との対決で、3位はチェ選手のものとなります。

最終の決勝戦、勝ち上がったのは怪物級の新人と噂の金剛級キム・ギス選手、そして金剛級の絶対王者イム・テヒョク選手。これまでの二人の対戦成績は3勝2敗でイム・テヒョク選手が優勢。お互いが攻撃的な姿勢で積極的に技をかけるものの拮抗が続き、時間いっぱいを使いながら熾烈な試合を繰り広げた結果、新興強者を抑えベテランのイム・テヒョク選手が3勝し、「初代太極壮士」の座につきました。

決勝戦には、決勝ラウンドまでに敗退してしまった選手も多く集まっており、最後には優勝したイム・テヒョク選手を全員で胴上げする場面も。熾烈な戦いを繰り広げる選手たちですが、土俵を降りれば同じ目標に向かって互いを高め合う仲間でもあります。
よきライバルとして、よき仲間として互いを敬い合う精神が根付いているのが韓国の伝統格闘技・シルムなのかもしれません。