【翻訳】誰でも楽しめるシルムのすべて!

韓国の伝統文化であるシルムは、昔から先祖が農閑期に楽しんできた伝統的な遊びです。
それだけに、いつでもどこでも誰でも気軽に楽しめるように変化してきました。
それが現代になって国家公認大会としてシルムの正確な形式とルールの重要性が増し、発展していくにつれユネスコ無形文化遺産にも堂々と登録されました。
世界標準として位置づけられるための南北共同作業も必要でしょう。
韓国人なら誰もが知っているようであまり知られていないシルムについて、一つ一つ振り返ってみましょう。

 

♥シルムの由来

シルムは人類の発生と時を同じくしていると言えます。
つまり、5,000年の韓民族の歴史とともに歩む伝統文化でありながら、娯楽、スポーツなのです。
太古の人々は他の種族や猛獣との戦いから身を守る必要がありました。
その時、自分を守る方法として原始的な武術としてシルムが活用されたと思われます。
このような原始武術の形であったシルムは、遊びと運動、競技の形態で発達し、現代には競技の形態で体系づけられ、現在のシルムへとつながりました。

シルムは昔、韓国の祖先たちの葬儀行事や名節などの地域の祭り、軍人の訓練や遊び、村間の紛争解決など様々な目的で活用されました。
私たちは高句麗のシルム壁画、朝鮮時代の朝鮮王朝実録、李舜臣(イ・スンシン)将軍の乱中日記、金弘道(キム・ホンド)、劉淑(ユスク)などの朝鮮時代の絵などを通じてシルムの歴史を垣間見ることができます。

昔から韓国の祖先の魂とともに伝統的な遊びとして受け継がれてきたシルムは、1912年にソウルの団成社(劇場)で現代型のシルムの試合が開催され、現在のスポーツの形になりました。
それ以降、シルムは伝統文化を抑圧された日本統治時代でも民族の遊びとして絶えず愛されており、1983年にはプロシルムが登場し、イ・マンギ、カン・ホドンなどのスター選手を輩出するなど、国民的な人気を得て現在までシルムの試合が引き続き開催されています。

 

♥シルムって何ですか?

韓国の伝統文化であり民俗遊びの一つで、昔とほぼ類似した形で現在まで受け継がれてきた韓国固有の闘技スポーツです。
二人がサッパを掴んで一定の競技ルールの下で技を競い、相手の膝から上の胴体が地面に触れるように倒せば勝つ競技です。
シルムはルールが簡単で、勝敗が明確で、老若男女誰でも簡単に接することができる競技です。

 

♥サッパって何ですか?


▲木綿のサッパと麻のサッパ

▲現在のサッパ

サッパは、シルムの試合で腰と足に縛りつけて使う布で、シルムの競技を構成する上で非常に重要で特徴的な用具です。
元々、サッパは木綿や麻の布を利用して製作され、1920年以降には白い木綿を使ってサッパが作られました。
その後、シルム競技方式の統一のために黒と白のサッパに統一して使用されていましたが、1980年にカラーテレビが国内に普及し、1983年の第1回天下力士シルム大会からは太極文様の青と赤のサッパを使い分けて現在に至っています。

 

♥シルムと他のスポーツの違いは何ですか?

シルムは格闘技として発展した大半のスポーツとは違って、相手を殴る技がまったくない暴力性のない紳士的な競技です。
このようなシルムの競技的な特徴は、礼節を重要視し、相手を配慮する韓国民族の優しい心がそのまま込められていると言えます。
こうしたシルムの特徴は競争と勝利だけを強調するスポーツとは違う点だと言えます。
また、シルムをする目的は変化してきていますが、その形は過去から現在に至るまでほとんど変化なく続いてきながらスポーツの形態として発展していることは、非常に特別な点といえます。

 

♥シルムは砂の上でだけやるんですか?

シルムは昔から砂のある場所で主に開催されました。
そのため、このような過去の伝統性を維持する意味でシルムの土俵は砂を利用して作ることを原則としていますが、やむを得ない場合は決められた規格のマットを利用して行われることもあります。
シルムの土俵は直径8mの大きさで作られ、選手たちの負傷を予防するために1.5mの補助的な土俵を設置して運営されています。

 

♥シルムは太った人だけの競技じゃないですか?

いいえ。シルムというと、ほとんどの人が太っていたり、体の大きい人がする試合だと言われます。
しかし、シルムは勝敗がはっきりしていて、ルールが非常に単純で、老若男女誰でも簡単に楽しめる代表的な競技です。
また、シルムの最大の魅力は、小さい選手が派手な技を使って大柄な選手にも勝てるという点だと言えます。

現在、男子の選手は体重によって7つの階級に分かれており、女子選手は3つの階級に分かれて大会が開催されています。
また、旧正月、秋夕、端午に開催される壮士を決める大会は4つの階級に分けて行われます。
しかし、毎年1回は階級を区分せず、世界中の全選手が技を競って天下壮士が誕生します。
それからシルム選手でなくても、シルム好きなら誰でも参加できる生活体育シルム大会も全国各地でよく開催されています。

 

♥派手な技で相手を制圧できるとのことですが、シルムの技は何種類ですか?

以前、シルムの技は100種類以上存在しましたが、大韓シルム協会が手技、脚技、足技、腰技、担ぎ技、混合技に分類し、計55種類の技を公式的に定めました。
現在、大韓シルム協会が定めた技は手技10個、脚技7個、足技8個、腰技7個、担ぎ技9個、混合技14個で構成されています。

 

♥シルムは勝つ人が出るまで続くんですか?

シルムは一度の試合で勝利者を決めることもありますが、ほとんどの場合3回試合をして2回勝利した人が勝者になります。
ただし、壮士大会の場合、5試合のうち3試合勝利した選手が勝者となります。
シルム1試合の時間は1分で、引き分けのときは30秒の延長戦を行います。
延長戦でも引き分けの場合は反則(警告)の回数が少ない選手が勝利となります。
この時、警告数が同じか、警告がなかった場合は、試合のユニフォームのまま青サッパの選手から体重を測定し、体重が軽い人が勝利と判定します。

 

♥シルムの競技は主にいつ行われますか?

シルムは昔から端午(旧暦5月5日)、中元(旧暦7月15日)、秋夕(旧暦8月15日)の日に川辺の砂浜や田舎の市、村の中心で行われていた競技でした。
現在でもシルムの試合は地元のお祭りや、スポーツ大会など様々な行事に欠かせないものとして登場しています。
しかし、現代のシルム競技は伝統文化シルムの活性化のため、3月から10月まで約10回のアマチュア大会及び5回の生活体育大会が開催されており、端午、秋夕、旧正月(旧暦1月1日)には壮士を競う大会が開催されています。
また、世界中の人々を対象にシルムの天下壮士を決める大会は毎年11月に開催されています。

 

♥シルム競技は主にどこで開催されますか?

シルム競技の開催場所は毎年変わります。
大韓シルム協会が毎年、大会の開催を希望する地域からの申込を受け付けて開催地を決定し、大会ごとの開催場所は毎年2月に大韓シルム協会のホームページに掲載されます。

 

♥シルム優勝トロフィーはなぜ牡牛の形なんですか?

昔からシルムの試合で優勝した選手を壮士と呼び、賞品として生きている牡牛1頭を送りました。
その後、現在の大会の形で競技が行われていく中で、生きている牡牛を賞品として授与するのが困難だったので、過去の伝統を受け継ぐ意味で牡牛模様のトロフィーを製作し、優勝者に授与しています。
現在でも一部の大会の場合、過去のように本物の牡牛を優勝者に授与することもしばしばあります。


▲大会で優勝した副賞の雄牛を引いていくソン・サンジュ壮士

▲漢拏壮士になり雄牛トロフィーを掲げているチェ・ソンファン壮士

 

♥シルムをすると健康になれますか?

シルムは自分の体力と技を軸に体全体の筋肉を使って相手を倒す競技なので、シルム競技への参加を通じてバランスの取れた身体の発達効果が期待できます。
シルムの技は、主に自分の安定した下半身を中心に相手を押したり引っ張ったり、回したり持ち上げるなどの動きを通じて相手を倒します。
結局、相手を倒すためにこのような動きをすることで、全身の筋肉の発達とともに筋力、筋持久力、柔軟性などの日常生活に役立つ基礎体力要素を向上させることができます。

 

また、シルムの競技は他のスポーツが持つ社会的効果、つまり決められた規則を守り、相手を配慮する等の過程を通じて社会に適応する社会性を養うことにも役立ちます。
しかし、他の全てのスポーツと同じように十分な準備運動を行わずに試合に臨んだり、安全が確保されていない場所で無理にシルムをすると、怪我をする恐れがあることを肝に銘じておくべきでしょう。
皆さんの健康な生活のために、韓国の伝統文化シルムを習ってみるのはどうですか?

 

♥シルムをもっと知りたいならどうしましょう?

シルムについて知りたいことがあれば、大韓シルム協会のホームページにアクセスして問い合わせると、親切な答えがもらえるでしょう。

・大韓シルム協会ホームページ:http://ssireum.sports.or.kr/gnb/index.php

 

–大韓シルム協会 씨름터 vol.20より一部抜粋して翻訳(http://ssireum.sports.or.kr/gnb/img/pdf/gro_20.pdf